舌ったらずなしゃべりかたや、話している途中につっかえることが多い場合、「滑舌が悪い」と表現されます。

「滑舌」というのはもともとは舞台用語でしたが、現在では広く一般に使われている言語です。

意味としては、「話すときの滑らかさ」。

つまり、「滑舌が悪い」というのは、話している内容が不明瞭である、聞き取りにくいといった、声の仕事を仕事とする人にとっては致命的なマイナスポイントなのです。

これを改善する練習法として有名なのが、早口言葉の練習です。ここでは、その効果的な練習方法についてご紹介します。

なぜ滑舌が悪いのか?

滑舌が悪い原因は、人によって様々です。

まずは、なぜ滑舌が悪い話し方になってしまうのか、その原因を探ることから始めましょう。

表情筋が硬い、弱い

いつも口が半開きだったり、口角が下がっていませんか?

表情筋、特に口の周りの筋肉が弱く、口をあまり動かさずに話している人は、正しい発声が出来ていないために滑舌が悪いと考えられます。

口を開けすぎている

はっきりと発音しなければと思い込みすぎて、口を開けすぎていたり、口に力を入れ過ぎていると、返って滑舌が悪くなってしまいます。

実は日本語は口の開きは小さくてもしっかり発音ができるので、口の開き方の大きさはあまり重要ではありません。

正しい母音の発音ができていない

滑舌の悪さは子音の問題のように思われがちですが、実は母音が正しく発音できていないために、滑舌が悪くなってしまうことが多いのです。

ほとんどの音は「子音+母音」で作られていますので、母音がおかしいと多くの音がおかしくなってしまいます。

他にも、低位舌(舌の筋力が弱いため、もしくは他の何らかの原因で、本来ならば舌先が上前歯の根元について舌全体は上顎につくべきところが、舌先が下前歯の根元について舌全体が落ちている状態。

閉じている口の中に空間がある感じ)、肺活量が少ない、歯並びが悪い、受け口であるといった原因も考えられ、トレーニングでは改善されない問題もあります。

矯正や治療にはお金も時間もかかりますが、声の仕事に就きたい人は、したほうが良いでしょう。

早口言葉の練習法

自分がなぜ滑舌が悪いのか、その原因がつかめたら、早口言葉の練習です。

早口言葉というのは、同じ音が重なったりして発音しにくい文句を早口で言うことですが、滑舌を良くする練習の場合は速く言う必要はありません。

早口言葉の代表的なものを例に挙げましょう。

・生麦生米生卵(なまむぎなまごめなまたまご)
・東京特許許可局(とうきょうとっきょきょかきょく)
・お綾や親にお謝り、お綾や八百屋にお謝りとお言い(おあややおやにおあやまり、おあやややおやにおあやまりとおいい)

①表情筋が硬い、弱いために滑舌が悪い人の場合は、一音一音確かめながら、口や舌をしっかり動かすことを意識して発音します。
②口を開けすぎている人は、必要以上に口を大きく開けるのをやめて、はっきり発音できる必要なだけの口の大きさを意識します。
③正しい母音の発音が出来ていない人は、子音を外してまずは母音だけでゆっくりと読んでみましょう。

早口言葉の練習は、ただ速く言えれば良いものではありません。
一番の目的は舌と唇を鍛え、リズミカルで速いスピードで言えるようになることですが、文章の意味がきちんと伝わるように、わかりやすい発声をすることも重要です。
繰り返し練習することで、舌と唇の滑りが良くなり、すらすらと言えるようになってきます。
また、③の人におすすめした「言葉の子音を外して母音だけで読む」練習法ですが、①②のタイプの人たちにも効果的です。
早口言葉でなくても、目に付いた文章でOKです。
意外と難しく、わかりにくいのですが、母音を書き下さずに読み上げるだけにしましょう。上達の近道です。
この母音読みをしばらく続けた後に、子音を戻して同じ文章を読んでみると、一つずつの音がクリアになります。
ウオーミングアップにもおすすめの練習法です。

長文の早口言葉にチャレンジする

滑舌を良くするための早口言葉の練習は、ただ速く言えるようになればよいものではありません。
文章の区切りを付けたり言葉に正しいアクセントをつけて、明瞭で耳に心地よい発音を身につけるための練習方法です。
レベルアップを目指して、短い文章の早口言葉にある程度慣れたら、長い文章の早口言葉に挑戦してみましょう。
有名なのは「外郎売(ういろううり)」の文句です。
普段耳にしない言葉や言い回しが楽しく、すらすら言えるようになると気持ちが良いです。
北原白秋の「五十音」(あめんぼ赤いなあいうえお・・・から始まる詩)も、母音を確認しながらの発声練習にぴったりです。
長文ですと呼吸も重要になってきますので、新たな課題が見付かることでしょう。
「外郎売」や「五十音」よりも短いですが、長文の早口言葉をいくつかご紹介しますので、自分の滑舌の悪さの原因を意識した上で、練習してみましょう。

・瓜売りが瓜売りに来て瓜売り残し、売り売り帰る瓜売りの声
(うりうりがうりうりにきてうりうりのこし、うりうりかえるうりうりのこえ)
・歌唄いが来て歌唄えと言うが、歌唄いくらい歌上手ければ歌唄うが、歌唄いくらい歌上手くないので歌唄わぬ
(うたうたいがきてうたうたえというが、うたうたいくらいうたうまければうたうたうが、うたうたいくらいうたうまくないのでうたうたわぬ)

滑舌の練習法としての早口言葉は、速く言えるよりも一語一語しっかり発声できるようになるところから始めましょう。