朗読をしていて、「冒頭部分は上手く話せなかったけれど最後の方では上手く話すことができた」という経験をした方は多いのではないでしょうか。朗読を上達させたいならこの「出だし」を重点的に意識する必要があります。

今回は、朗読の出だしが重要な理由や出だしをうまく話すコツを紹介したいと思います。

目次

最初の印象で全体の印象が変わってしまう

朗読とは関係のない話に聞こえますが、これから述べる「第一印象の話」は朗読がうまくなりたいのならぜひ知っておいてください。人前で話をするなら、最初の印象がとても大切です。例えば初対面の人と会ったとき、その人のイメージは数秒で印象付けられてしまいます。

笑顔で挨拶されたら「感じの良い素敵な人だなぁ」と思いますし、そっけない態度だったら「何だか嫌な感じ」と印象が固定づけられてしまいそれを撤回するのは大変です。

またテレビを見ていても番組の冒頭だけ見てつまらなかったらチャンネルを変えてしまいますし、本も最初の数ページ読んで面白くなかったら最後まで読む気が無くなってしまうでしょう。

人前で話すとき、話し方がうまい人は最初に相手を惹きつける話を少しします。自己紹介がてら相手がちょっと笑ってしまうような話を入れたり、身近な話を取り入れてみたり。本題が堅苦しいものであっても、出だしでひきこまれれば最後まで飽きずに聞いていられるものです。

朗読は自分で話を作るわけではありませんから、そんなことを言われても…と思う方もいるかもしれません。しかし話し方によって相手の印象はいかようにも変えられます。朗読は出だしでどれだけ聞き手の心をつかめるのかが非常に重要なのです。

出だしは緊張せずに、少しだけトーンを低めに

朗読に慣れていないと、出だしは緊張するものです。相手にその緊張が伝わってしまうと、緊張感のある物語でなくても、相手は不必要にドキドキしてしまい、落ち着かなくなってしまうもの。声のトーンは緊張していると高めになるため、出だしはトーンを少し低めに話し始めるようにしましょう。

低めのトーンは相手に安心感を与えます。安心感があると、これからどんな物語が始まるんだろうと聞き手に余裕をもって想像を膨らませてもらうことができます。

それでもどうしても緊張してしまい甲高い声になってしまう人は、朗読前にリラックスできるよう深呼吸をしましょう。朗読の基本は腹式呼吸です。大きくてはっきりとした声を出すためにトレーニングしている人も多いかもしれません。腹式呼吸は口から息を吐いて、鼻から息を吸い込む呼吸法です。

この呼吸は肺での呼吸よりも、より多くの酸素を取り込むことができます。

実はこの腹式呼吸は精神をリラックスさせる作用もあります。緊張し交感神経が優位に働くと呼吸は浅くなります。つまり意識的に深い呼吸をすることで副交感神経が優位になり、身体はリラックスし落ち着いた状態になるのです。朗読前には、良い話し方になるためと、緊張を和らげるためにぜひ深呼吸をしましょう。きっと落ち着いて話し始められるはずです。

朗読でありがち、セリフから始まるケース

通常のプレゼンテーションなどではありえませんが、朗読の場合様々な出だしのケースがあります。難しいのが登場人物のセリフから始まるケースです。聞き手には何の情報もない中で、突然登場人物の気持ちになり感情を込めて話すのは難易度が高いですよね。前述したように、出だしは相手の印象を決める重要な部分であるのにもかかわらず、いきなりのセリフ。これは朗読に慣れている人もあまり好きな出だしではないかもしれません。

あなたがもし出だしのセリフを苦手としているなら、その前に自分なりの文章を付けてしまいましょう。例えば「昔々〇〇と△△が仲良く暮らしていました。ある日の朝、〇〇が△△に言いました。」というように出だしをセリフから始まらないようにするのです。

もちろん本番でその部分は話しませんが、練習では必ずこの部分も言うようにします。何度も練習するうちに、どこから読み始めてもその時の情景がパッと頭に浮かぶようになります。

そうすればセリフから始まる出だしでも登場人物の気持ちに入り込めるのです。簡単なことですが高い効果はありますのでぜひ試してみてください。

慣れていくとうまくいく

朗読の出だしがうまくいかないという人に多いのは、朗読になれていない人に多い悩みです。最初から何もかもうまくいく人なんていません。朗読のプロも練習を重ねて数多くの本番を経験し、上達をし場慣れをしていったはずです。出だしがうまくいかなくても必要以上にその失敗を恐れないようにしてください。

マイナスのイメージを持つのではなく、プラスのイメージを持つことで心に余裕ができ、朗読に必要な話の中に入り込むコツがつかめてきます。一人で練習することも大切ですが、できる限りたくさんの人にあなたの朗読を聞いてもらいましょう。これから朗読を聞く、という心の準備ができていない人に対して朗読を聞いてもらうことは、あなたの朗読のレベルを必ず上げてくれます。

聞き手は朗読の知識が全くない人だっていいのです。本番でも朗読の聞き手は朗読を聞きなれた人とは限りませんから、聞き手としてはベスト。ぜひ正直な感想をもらうようにしてくださいね。

最後に

朗読は出だしが肝心です。コツをつかめば出だしから聞き手の心をグッととらえることができます。冒頭部分は積極的に練習を積んでみてくださいね。