ナレーションの仕事は声の仕事であり、表現力を問われるため、ただ読み上げればいいというものではありません。

こうしたものの出番は多岐にわたり、テレビやラジオ番組において番組のVTRなどの説明を声で行うということや、企業のPR映像やコマーシャルでの商品説明、企業説明などもナレーションの仕事です。

なかなか顔が表に出てくることはありませんが、それがなければ番組やコマーシャルがほとんど回らないほど、この仕事は大変重要な仕事です。

ナレーション大別

重要な仕事と言われる理由としてまず最初に挙げられるのが、場面場面で求められる仕事内容が変化することです。

ナレーションの仕事はニュース番組やドキュメンタリー、バラエティなど様々です。ニュース番組でも取り扱うニュースによっては声の調子を変える必要があります。

重大事件を扱う際の声、もしくはほのぼのとしたイベントを扱う際の声が一緒だと視聴者は違和感だけでなく、そのニュース番組自体の信用や信頼をしなくなり、見てもらえなくなります。

ですので、状況に応じた声の出し方、表現が求められることになります。バラエティーの場合にはディレクターなどの演出に合わせながら表現をしていく必要があります。

コミカルなしゃべり方だけ出来ても意味がなく、しなければならない告知やPR、お詫びなどをしなくてはならない場合にはかしこまった声というのも出していかなければなりません。

このような仕事ぶりを見ても、ただ与えられたものをそのまま読めばいいというわけではないことがよくわかります。

このため、ナレーションの仕事は専門的な練習を重ねてきた人、もしくは声の仕事を専門的に行ってきた人が行うようになっています。

例えば、声優はアニメーションに声をアテレコするのが仕事であるため、絵の動きに合わせて声の調子を変えたり演じたりすることが出来ます。

こうした技量は当然のことながらナレーションに活かされることになります。

アナウンサーもまた同じです。

声の良さで選ばれることもあるため、はっきりした発声、発音は聞く人に嫌悪感を与えません。

クセのある声は時には番組にいいアクセントを産む場合もありますが、その一方でその声が気に入らないといったマイナスの部分を与える場合もあります。

アナウンサーの場合、研修段階で基礎的な発声、発音を徹底的に叩き込まれるので、そうした意味でこれらのことが活かされるのです。

最近では俳優や女優などの役者も務める場合があります。

たいていの場合はドキュメンタリーなどの淡々とした喋りが求められる番組で起用されることが多いというのが特徴です。

ドキュメンタリーに登場する人物の心の機微、そして葛藤を表現する際に俳優や女優はとてもうまく、視聴者をテレビの画面に引き寄せることができるのです。

声優やアナウンサー以外に声の仕事をやるには、DJをやるのもおすすめです。

英語の発音が良く、テンポよくスラスラ喋りができるというのは大変なスキルであり、誰でもできるものではありません。

ラジオパーソナリティもそうです。

ラジオなどに携わり、そこで活躍する人は少なくとも声に関する生理的な拒絶というものがなく、それでいて表現が面白い人が多くいます。

そのため、ラジオで活躍した人が声の仕事をたくさんするということもよくあることです。

ナレーションの仕事は芝居経験やその感覚、テンポや間の取り方がうまい、リズム感があるなど様々な要素を兼ねていなければ出来ない仕事です。

ただ与えられた原稿を読み上げることは誰でもできることですが、例えば、テレビ番組における声の仕事と、企業の案内をする声の仕事では求められるスキルが全く違います。

正確無比に読み上げるスキルも大事ですが、あたかも楽しそうに演じる、番組の雰囲気を盛り上げる、自分自身も演者の1人であるように振舞う、名調子で場を守り立てるといったスキルも大切です。

だからこそ、正確無比に読み上げるスキルしかない人はそうしたスキルを要する仕事だけを行い、芝居感覚のある人はバラエティーなどの仕事を中心に行うようになるのです。

とはいえ、正確無比に読み上げるというのも簡単ではありません。正確に読もうとして棒読みになってしまうことがあるからです。正確性を大事にすることも、表現良く読み上げることもどちらも欠かせないですし、そのどれかがあればこの仕事でなんとか頑張っていくことができます。

ナレーターへの道

1.【ナレーターとは
 ナレーターという職業の紹介、仕事の幅広さ、どんな人がやっているのかなど。

2.【ナレーターになるには
 ナレーターになる方法を様々な事例を交えてご紹介します。

3.【養成所や専門学校は必要?
 ナレーターになる方法としての選択肢としての学校、養成所選び、 学校に行かない場合と比較してご紹介。

4.【今求められているナレーション
 今の現場で求められているナレーションとその理由を制作現場の視点から説明します。

5.【誰でも「いい声」になれる
 そもそも「いい声」とはなんなのか。どうすれば手に入るのか。その方法と自分の「いい声」の見つけ方。
 
6.【「いい声」のための正しい姿勢
 いい声を出す方法としての正しい姿勢。立ち方。座り方。現代人は皆猫背、ストレートネックなのでまずはそこを矯正する必要あり。

7.【「いい声」のための正しい呼吸
 もっとも自然な無駄の無い呼吸。息が浅い人やすぐ緊張してしまう人のための深呼吸方法も紹介。
  
8.【普段からできるトレーニング
 学校や養成所に行く前にできる自主練習の方法を紹介。専門家から習う前にやってはいけない練習。テレビを見ているときも耳を鍛える。

9.【事務所の選び方
 自分の方向性をしっかり定めて、やりたい仕事をマッチする事務所を探そう。

10.【自分を見つめ続ける
 ナレーターはブースにたった一人。自分を常に見つめ続けることが長く仕事を続ける秘訣。

最後に

最近ではこうした声の仕事を志望する人が多くいます。

配信サイトなどでオンライン販売・ナレーション音声宅配の流れが強くなり、手軽にできる環境が整ってきたからでしょう。

とはいえ、発声方法や呼吸法、発音の仕方といった基礎中の基礎が出来ている人はおらず、また、それ専用の学校に通っていないとなかなか厳しい現状があります。

読み上げる仕事がしたい、そうしたものに憧れているという場合には専門的な勉強を行い、芝居などを多く見て、様々な表現方法を学ぶということをしておく必要があります。

もしフリーで活動するなら、声の達人になるだけでなく、録音機器に関するプロならではの知識も必要ですよ。

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