外郎売(ういろううり)は、外郎売は、享保3年に初演された歌舞伎十八番の中の演目です。

現代では、その外郎売の口上の一部の長セリフを指すことが一般的になりました。「拙者親方と申すは、お立ち合いの中にご存知のお方もござりましょうが、お江戸を発ってニ十里上方…」といった内容です。

外郎売は、滑舌トレーニングで一番有名な題材ですから紹介しておきますね。

外郎売(ういろううり)の内容

外郎売りが妙薬の由来や効能を雄弁に述べるもの・・・

引用:https://dictionary.goo.ne.jp/jn/17348/meaning/m0u/

なにぶん外郎売は古い台本なので、読み方だけでなく、漢字も違う外郎売があります。(例:⼀丁だこ⇔干だこ、小新発地⇔小新発知、⼀粒(いちりゅう⇔ひとつぶ etc)。

部分的には違いますが、外郎売の大意は変わりません。

外郎売の見せ場は、エロキューションの妙を披露する、『そりゃそりゃそりゃ、そりゃそりゃ廻って来たは、廻って来るは・・・』から始まる早口言葉です。

外郎売(ういろううり)全文

外郎売の音声動画も紹介しておきますが、読み手によって、区切り方などは変わります。 赤字は鼻濁音です。

第一段

拙者せっしゃ親方おやかたもうすは、御立会おたちあいうちに、

御存ごぞんじのおかたもござりましょう

江戸えどって二十里にじゅうり上方かみ

相州そうしゅう小田原おだわら一色町いっしきまちをおなされて、

青物町あおものちょうのぼりへおいでなさるれば、

欄干橋虎屋らんかんばし藤右衛門とらやとうえもん

只今ただいま剃髪ていはついたして、円斉えんさい名乗なのりまする。

元朝がんちょうより大晦日おおつもりまでおれまするくすりは、

むかしちんくに唐人とうじん外郎ういろうというひと、わちょうたり、

みかど参内さんだいりから、

くすりき、

もちゆるとき一粒いちりゅうずつ、かんむりよりりいす。

ってそのみかどより、透頂香とうちんこうたまわる。

すなわ文字もんじにはいただき、く、においきて、『とうちんこう』ともう
す。

只今ただいまくすりことほか世上せじょうひろまり、

ほうぼうに偽看板にせかんばんだし、

イヤ、小田原おだわら灰俵はいだわらのさんだわら炭俵すみだわらのと、いろいろにもうせども、

平仮名ひらがなをもって「ういろう」といたしたは、親方おやかた円斉えんさいばかり。

もしやお立会たちあいうちに、熱海あたみ
塔ノ沢とうのさわへ、湯治とうじにおなさるるか、

または伊勢御参宮いせごさんおりからは、

かなら門違かどちいなされまするな。

のぼりならばかた

くだりなれば左側ひだり

八方はっぽう八棟やつむね

おもて三ッ棟みつむね玉堂造ぎょうくどうづくり。

破風はふにはきくきりとう御紋ごもん御赦免ごしゃめんあって

系図けいずただしきくすりでござる。

第二段

イヤ最前さいぜんより家名かめい自慢じまん
ばかりもうしても、

御存知ごぞんじないかたには、正身しょうじん胡椒こしょう丸呑まるの白河夜船しらかわよふね

さらば一粒いちりゅうたべかけて、その気味合きみあいをおにかけましょう。

くすりをかように一粒ひとつぶしたうえせまして、

腹内ふくないおさめますると、イヤどうも
えぬは、

しんはいきもすこやかになって

薫風くんぷう咽候のんどよりきたり、

口中こうちゅう微涼びりょうしょうずるし。

ぎょちょう麺類めんるい喰合くいあわせ、

そのほか万病まんびょう速効そっこうあることかみし。

さてくすり第一だいいち奇妙きみょうには、

したまわことぜに跣足はだしる。

ひょっとしたまわすと、たてもたまらぬじゃ。

第三段

そりゃそりゃそりゃ、そりゃそりゃまわってたは、まわってるは、

あわや咽喉のど、さたらなぜつに、か歯音しおん

はまのふたつはしん軽重けいちょう開合かいさわやかに、

あかさたなはまやらわ、をこそとのほもよろお。

ひとつぺほしはじかみ

ぼんまめ盆米ぼんぼんごぼう。

だてつみまめつみ山椒ざんしょ書写山しょしゃざん社僧正しゃそうじょう

粉米生噛なま粉米生噛なまみこん小米のこ生噛なまみ、

繻子しゅす緋繻子ひじゅす、ひじゅす繻子しゅす繻珍しゅちん

おや嘉兵衛かへい嘉兵衛かへいおやかへいかへい、嘉兵衛かへい
おや嘉兵衛かへい

古栗ふるのふるくち

雨合羽あまっぱ番合羽ばんっぱか、

貴様きさま脚絆きゃはん皮脚絆かわゃはん我等われら脚絆ぎゃはん皮脚絆かわゃはん

しっ革袴かわばかまのしっぽころびを、三針針長みはりはりなにちょとうて、うてちょとぶんせ、河原撫子かわらなでしこ野石竹のぜきちく

のら如来にょらいのら如来にょらいのら如来にょらいのら如来にょらい

一寸先いっすんさきのお小仏こぼとけのお蹴躓けつまずきゃるな。細溝ほそどぶにどじょにょろり、

きょうのなまだら奈良ならなま学鰹まなつお、ちょと四五貫目かんめ

茶立ちゃたちょ茶立ちゃたちょ、ちゃっとちょ茶立ちゃたちょ、青竹あおたけ茶筅ちゃせんでおちゃちゃとちょ

第四段

るはるはなにる、高野こうややまのおこけら小僧こぞう狸百匹たぬきひゃっぴき箸百膳はしひゃくぜん天目百杯てんもくひゃっぱい棒八百本ぼうはっぴゃっぽん

武具馬具武具馬具三武具馬具みぶぐばぐわせて武具馬具六武具馬具むぶ

きくくり、きく、くり、三菊栗みきくくり
わせてきくくり
六菊栗むきくくり

ごみごみ三麦塵みむごみわせてごみ六麦塵むむごみ

あの長押長薙刀なたは、長薙刀なたぞ。

こうの胡麻殻ごま胡麻殻ごまか、真胡麻殻か、

あれこそほんのまの真胡麻殻

がらぴぃがらぴぃ風車かざるま

きゃ小法師こほうしきゃ小法師こほうし昨夜ゆんべこぼして又溢またこぼした。

たぁぷぽぽ、たぁぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、

たっぽたっぽ干蛸ひぃだこちたら
おう。

てもいてもわれぬもの
は、五徳ごとく鉄弓てっきゅうかな熊童子ぐまどうじに、石熊いしくま石持いしもち、虎熊とらくまとらす、

なかにも東寺とうじ羅生門らしょうもんには、茨木童子いばらぎどうじうで五合つかんでおむしゃる。

かの頼光らいこう膝元ひざもとらず。

第五段

ふな金柑きんかん椎茸しいたけさだめて後段ごだんな、蕎麦切そばき素麺そうめん饂飩うどん愚鈍ぐどん子新発知こしんぼち

小棚こだな小下こした小桶こおけに、小味噌こみそ小有こあるぞ、小杓子こしゃくし小持こもって小掬こすくって小寄こよこせ。

おっと合点がってんだ、心得こころえ田圃たんぼ川崎かわさき神奈川かながわ程ヶ谷ほど戸塚とつかはしって
けば、やいと

三里さんりばかりか、藤沢ふじさわ平塚ひらつか大礒おおいそしや、小磯こいそ宿しゅくななきして、早天そうてん早々そうそう相州そうしゅう小田原おだわら透頂香とうちんこうかく御座ござらぬ。

貴賎群衆きせんぐんじゅの、はな御江戸おえどはなういろう。

アレあのはなて、御心おこころ御和おやわやとう、産子うぶこ這子はうこるまで、

外郎ういろう御評判ごひょうばん御存ごぞんいとはもうされまいまいつぶり、角出つのだ棒出ぼうだ
せぼうぼうまゆに、

うすきね擂鉢すりばち
ばちばち桑原ぐわら桑原ぐわら桑原ぐわら
と、

羽目はめはずして今日こんにち御出おいでの何茂様いずれもさまに、ねばならぬ、らねばならぬと、

いきせいり、東方とうほう世界せかいくすり元締もとじめ薬師如来やくしにょらい照覧しょうらんあれと、

ホホうやまって外郎ういろうはいらっしゃりませぬか。

台本を持ってない方は、【横書き版.pdf】、【縦書き版.pdf】をダウンロードしてお使いください。

外郎売を用いた発声練習で一番大切なキホン

あなたが吃音(どもり)でなければ、発声に必要な口や舌の動きが不十分なだけです。

楽な口の開きで練習するのではなく、大きく口を開いて読み上げてください。

外郎売は発声技術の妙を披露するために、かなり深くまで計算されて作られています。大きく口を開いて読み上げるだけでも、口や舌の動きが良くなり、滑舌は良くなりますよ。

とにかく口や舌の活動域を広くするため、口を大きく開き、繰り返し練習することが大切です。

外郎売の覚え方~台本を最短で暗記するコツとは?

ワンステップ上を目指す3つのポイント

外郎売の口上を、声優・ナレーター・アナウンサーや俳優・女優など、プロとして恥ずかしくないレベルにするには、以下の3点も意識してください。

トチる言葉はチェックしておこう

滑舌が悪いまま練習していると、変な癖がつきます。

正しい発音にするため、苦手な行は個別練習しておきましょう。

以下のページで、苦手な行の滑舌を良くするのに、適している早口言葉を紹介しています。正しい口の形、舌のコントロールを身につけましょう!

滑舌練習(母音をきちんと変化させよう!)
カ行・サ行・タ行・ナ行・ハ行・マ行・ヤ行・ラ行・ワ行の滑舌

リズムとイントネーションを意識しよう

外郎売は長セリフなので、リズムとイントネーションも大切になります。

どこに抑揚をつけて読むべきなのか、どこを早口でまくし立てるべきなのか、どのように演じればいいのか、自分なりに工夫してください。

この積み重ねが、表現力に差を生みます

以下のページで、外郎売の内容をわかりやすく解説しています。情景をイメージするのにお役立てください。

【現代語訳】外郎売の科白の意味を深く理解しよう!

鼻濁音も意識しよう

ガ行濁音の音韻が柔らかになり、とても聞きやすくなります

以下のページで、苦手な方向けに、ガ行の鼻濁音の発声に適した練習文も紹介しています。
鼻濁音とは?濁音との違いやコツをつかむ練習方法